消費者物価指数(CPI)とは?コア・コアコアの違いと最新値、金利・円・株への影響
この記事は経済指標の読み方の解説です。特定の金融商品の購入をすすめるものではありません。数値はすべて公式資料から2026年10月15日に確認したものです。
CPIは「家計が買うモノ・サービスの値段の平均的な変化」を表す総務省統計局の指数です。ニュースの「コア」は生鮮食品を除く総合指数で、最新の全国2026年8月分は前年同月比+1.7%(総合+1.9%)。日銀は消費者物価の前年比2%を目標にしており、CPIは金利・為替・株価の材料になります。
CPIとは
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は、全国の世帯が購入する財・サービスの価格を総合して、物価の変動を時系列で測る指数です。総務省統計局が1946年8月から作成しています。[1] いまの指数は2025年を100とする「2025年基準」です。[2]
ニュースで「物価が前年比○%上昇」と言われるときの多くは、このCPIの前年同月比を指しています。
総合・コア・コアコアの違い
| 通称 | 統計局の正式名 | 何を除くか | ねらい |
|---|---|---|---|
| 総合 | 総合指数 | 除かない | 家計の体感に近い全体像 |
| コア | 生鮮食品を除く総合指数 | 生鮮食品(天候で振れやすい) | 日本のニュースで最も注目される |
| コアコア | 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数 | 生鮮食品+エネルギー | 基調的な物価の動き |
正式名は統計局の公表資料による。[2] 「コア」「コアコア」は報道上の通称です。なお米国では「コア」は食品とエネルギーを除く指数(all items less food and energy)を指すため、日本の「コア」と範囲が違う点に注意。[4]
どうやって計算している?
- 算式:基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)。基準年の家計の買い物の構成(ウエイト)を固定し、価格の変化だけを測ります。[3]
- 基準時・ウエイト:2025年の1年間。ウエイトは家計調査などによる2025年平均の1世帯あたり品目別消費支出額がもと。[3]
- 品目数:589品目(2025年基準)。[3]
- 基準改定:消費構造の変化を反映するため、一定周期で基準年を更新(原則5年ごと)【周期の公式文言は未確認】。[1]
イメージとしては「2025年の平均的な家計の買い物かごを、いま買うといくらになるか」を指数化したものです。
最新の数値(日本)
全国:2026年8月分(2026年9月18日公表)[2]
| 指数 | 指数(2025年=100) | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 総合 | 102.2 | +1.9% |
| 生鮮食品を除く総合(コア) | 102.0 | +1.7% |
| 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア) | 102.5 | +1.9% |
同じ資料の推移では、コアの前年同月比は2025年10月の3.0%から、2026年4月・5月の1.4%まで低下し、その後7月1.8%、8月1.7%となっています。[2]
東京都区部(中旬速報値):2026年9月分(2026年10月2日公表)[5]
| 指数 | 指数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 総合 | 102.5 | +2.7% |
| 生鮮食品を除く総合 | 102.6 | +2.7% |
| 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 103.0 | +3.0% |
東京都区部は全国より約3週間早く出る先行指標として公表されています。[5] 全国9月分は2026年10月23日に公表予定です。[6]
米国CPI(BLS)
米国のCPIは労働省労働統計局(BLS)が毎月公表し、米国の金利見通しを通じて世界の株・為替が大きく動くことがあります。
| 2026年9月分(2026年10月14日公表)[4] | 前月比(季節調整済) | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 総合(CPI-U All items) | +0.6% | +3.7% |
| 食品・エネルギーを除く(コア) | +0.3% | +2.6% |
| エネルギー | +5.2% | +20.4% |
BLSは、9月の総合指数の月間上昇の半分超がガソリン(前月比+9.1%)によるものと説明しています。[4] 10月分は2026年11月10日(火)午前8:30(米東部時間)に公表予定。[4] 日本時間では同日22:30の見込みです(11月は米国が標準時のため14時間差)【時差換算は筆者計算】。
公表カレンダー(総務省統計局の公表予定より)[6]
いずれも午前8:30公表。
| 公表日 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月23日(金) | 全国 2026年9月分 |
| 2026年10月30日(金) | 東京都区部 2026年10月分(中旬速報値) |
| 2026年11月20日(金) | 全国 2026年10月分 |
| 2026年11月27日(金) | 東京都区部 2026年11月分 |
| 2026年12月18日(金) | 全国 2026年11月分 |
| 2026年12月25日(金) | 東京都区部 2026年12月分・2026年平均 |
| 2027年1月22日(金) | 全国 2026年12月分・2026年平均 |
| 2027年1月29日(金) | 東京都区部 2027年1月分 |
| 2027年2月19日(金) | 全国 2027年1月分 |
| 2027年2月26日(金) | 東京都区部 2027年2月分 |
| 2027年3月19日(金) | 全国 2027年2月分 |
| 2027年3月26日(金) | 東京都区部 2027年3月分・2026年度平均 |
全国は原則「翌月の下旬(金曜が多い)」、東京都区部は「当月の月末ごろ」。日程は変更されることがあるため、直前に統計局の公表予定をご確認ください。米国CPIの年間日程はBLSのスケジュールページ[7]が自動取得をブロックしており、本記事では10月分(11/10)以外は【未確認】。
CPIと日銀・FRBの金融政策
- 日本銀行:2013年1月に「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めています。[8] CPIが2%を安定的に上回るか下回るかは、政策金利の判断材料のひとつになります。
- FRB(米連邦準備制度):長期的に2%のインフレ率を目標とし、その物差しには主にPCE(個人消費支出)物価指数を使っています。[9] CPIはPCEより先に公表されるため、市場はCPIで先回りして見通しを修正しがちです。
日銀・FRBの現在の政策金利の水準や次回会合の判断は本記事では扱っていません【最新の政策金利は各中銀の公表文で確認してください】。
金利・円・株・債券への波及(一般的な経路)
| CPIが予想より高い | CPIが予想より低い |
|---|---|
| 利上げ観測↑(利下げ観測↓)→ 国債利回り↑・債券価格↓ | 利下げ観測↑ → 利回り↓・債券価格↑ |
| その国の通貨が買われやすい(米CPI上振れならドル高・円安方向になりやすい) | 通貨が売られやすい |
| 株は金利上昇を嫌って下がることがある(特に成長株) | 株は金利低下を好感することがある |
これは教科書的な傾向で、実際の値動きは「市場予想との差」や景気・企業業績など他の要因で逆になることも多くあります。数字そのものより予想とのズレが動きを生む点がポイントです。
個人投資家にとっての意味(NISA・預金)
- 預金の実質価値:預金金利が物価上昇率を下回ると、金額は減らなくても買えるモノの量(実質価値)は減ります。たとえば物価が年2%上がる環境で金利0.2%の預金なら、実質では約1.8%目減りする計算です(単純化した例)。
- 積立投資と指標:毎月の指標発表で短期的に相場が動いても、長期・積立・分散で続ける方針なら設定を変える必要は通常ありません。指標発表に合わせた売買のタイミング取りは難しいことが知られています。
- 外国資産と為替:米CPIの結果は円相場を通じて円建ての外国株・投資信託の評価額を動かします。ドル転のコストはドル転を安くする方法を参照。
- NISAの使い方:インフレ対策として投資を始める場合も、生活防衛資金を確保したうえで。制度の運用面はボーナス設定、クレカ積立の締切日、金融機関変更の記事へ。
投資には元本割れのリスクがあります。最終的な判断はご自身で行ってください。
出典(2026年10月15日確認)
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説」 https://www.stat.go.jp/data/cpi/2025/kaisetsu/index.html
- 総務省統計局「消費者物価指数(CPI)全国(最新の月次結果の概要)」2026年8月分 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html /PDF https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
- 総務省統計局「2025年基準消費者物価指数の概要」 https://www.stat.go.jp/data/cpi/2025/kaisetsu/pdf/1.pdf
- U.S. BLS "Consumer Price Index – September 2026"(USDL-26-1574) https://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm
- 総務省統計局「東京都区部 2026年9月分(中旬速報値)」 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
- 総務省統計局「公表予定(消費者物価指数)」 https://www.stat.go.jp/data/kouhyou/e-stat_cpi.xml
- U.S. BLS "Schedule of Releases for the Consumer Price Index" https://www.bls.gov/schedule/news_release/cpi.htm
- 日本銀行「2%の『物価安定の目標』」 https://www.boj.or.jp/mopo/outline/target.htm
- FRB "Why does the Federal Reserve aim for inflation of 2 percent over the longer run?" https://www.federalreserve.gov/faqs/economy_14400.htm